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道端の鳩

突然の鳩のフン

1ページで矛盾する、週刊ダイヤモンドの"反知性主義"の記事を批判する

 dマガジンって普段は手に取らないような雑誌でも読めるのがいいよね。どうも平和の象徴こと私です。

 そういう感じでdマガジンにて、週刊ダイヤモンド2015年10月17日号の特集「読書を極める! Part1 知性を磨く読書術」というページを読んでみたのだけど論理的におかしな点がたった1ページの中にぎっしり詰まっていてびびったのでここに紹介したいと思う。まずはその文を引用して皆さんにもまず、このもやっと感を共有してもらいたい。ちなみにこの内容は外交官であった佐藤優氏にインタビューした、対談形式で掲載されている。

 

>「自分が欲するように世界を理解する態度」を指して「反知性主義」という。

 

>──最近は、”反知性主義”というフレーズをよく耳にします。

>ええ、反知性主義とは、「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」のことを指します。

反知性主義は、2012年12月に第2次安倍晋三政権が誕生後、日本の政治エリートの間で急速に広がっています。

 

 

>ただ、反知性主義ということで、一つ言えるのは、森本あんりさんが書いた『反知性主義』(新潮社)は読まない方がよいです。

 

>言葉というものは、時代とともに移り変わっていくものです。現在、アンチ・インテレクチュアリズムという言葉は、常識的には米国でも、ロシアでも、ドイツでも、私が定義した意味で使われているのです。

 

(上記全て、週刊ダイヤモンド同号34ページより抜粋引用)

 

 いかがだろうか。もやっとボールを投げたくなる文章ではなかろうか。引用1つめはそれ単体で読めばまだ許せる。意味が広義的で、ざっと理解するに「自分からの視点のみで物事を理解する主義のこと」と理解できるからだ。しかしながら、2つめの引用ではどうだろうか。

 

 「よく耳にする”反知性主義”」というフレーズの意味に対して、その”反知性主義”を具体的に表す例が現政権の政治家たちのことだと言う。ここには2つ、論理のおかしな部分がある。

 ひとつに、「よく耳にする”反知性主義”」は佐藤氏の意味する”反知性主義”と同じものであるとは限らない。少なくとも、僕の聞くところの”反知性主義”は大抵、客観的科学的考証、立証を無視した、いわゆる放射脳であるとか非科学的主張をする人たちの文脈で使われていることが多いような気がするので、これは佐藤氏の主張するところの”反知性主義”の意味からは外れるものであろう。

 もうひとつには、具体例に突然政治の話を始めてそれを反知性主義であると言っていることだ。現政権に反感を持っている人であればこれをもって同意してしまいそうになる言い回しであるが、冷静に、客観的に考えて、「政治エリート」が「反知性的」か?この疑問を是とする人はちょっともう置いといて、日本の間接民主制によって選ばれた政治家が得てして反知性的であるとは僕は考えられない(鳩山由紀夫にすら知性はあると思っているくらいだ)ので、佐藤氏は"反知性主義"を"安倍政権"を批判する道具のひとつとして使っているのかな、という感想を持った。彼の他の主義主張は見聞きしたことないが。

 以上が2つめの引用への批判。

 

 3つめの引用は、うん、名指しでこの本は読むなと来たかあ(詠嘆)。ちなみにこの後のページを読むとこの特集の題である「読書を極める!」方法のひとつが読まない本を選定するということらしく、他にも嫌韓本であるとか日本礼賛本を読むなと書いている。確かに情報の洪水である今の世の中で、頭に入れる情報は取捨選択されるべきではある。だが、氏のおっしゃるところの本を言われるままに無視することはまさに「自分が欲するように世界を理解する態度」であり、とても知性的であるとは言い難い。まあ僕もそもそもそちらの本知らないんだけどね。どうやらぐぐるとアマゾンでのレビューは大方良しということではあるらしい。機会があれば読んでみたいね。

 

 最後の引用は日本人によく効く詭弁の論理だ。「彼もやってるよ、あの人もやってるよ、あの人も。ほら、だから正しいんだ」ってやつ。米国はともかくロシアでもドイツでも、アンチ・インテレクチュアリズムって発音されてるの~?って突っ込みももちろん入るだろう。周りがやってるから正しいという、ある種の権威主義をもって”反知性主義”を主張するほど痛快な文章は僕はなかなか読んだことがない。しかも「言葉は常に移り変わる」と文章が始まり「私が定義した意味が正しい」で〆るんだから思わず「本当に頭は大丈夫ですか?」とエロゲの画像を貼ってしまいたくなる勢いだ。

 

 

 というわけで、佐藤氏の主張自体がおかしいのか、それとも編集者がそれに惑わされてまとめ違えたのか定かではないけれど、dマガジンを購読している人は週刊ダイヤモンドの10月17号を読んでみよう!反知性主義に陥らないためにもね!

 

参照元、参考文献:

週刊ダイヤモンド2015年10月17日号, 34ページ

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

反知性主義 - Wikipedia